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問題と解答

問題の種類:補助簿

問題.156-4-2第156回第4問の2

問題

問題
以下の取引が記入されるべき補助簿名を挙げなさい。(改題)
①7月1日 機械¥870,000を購入し、引き取り運賃¥30,000を含めた金額を、小切手を振り出して支払った。
②7月10日 商品¥350,000を仕入れ、注文時に支払った手付金¥50,000を差し引いた残額を掛けとした。
③7月16日 売掛金¥90,000を現金で回収した。

解答

解答
①当座預金出納帳、固定資産台帳
②商品有高帳、買掛金元帳、仕入帳
③現金出納帳、売掛金元帳

解説
日商簿記3級では、現在実務上使用されていない、ほぼ架空の補助簿に関して出題されることが多々あります。
そこで、①簿記・会計上必要な補助簿とその存在意義。②受験対策上の補助簿、に分けて解説します。
①簿記・会計上必要な補助簿
1.固定資産台帳:減価償却費算出に必要。したがって、減価償却費算出に必要な項目がすべて記載されるべきです。
  具体的には、取得日、取得価額(取得原価)、耐用年数、減価償却累計額、残存価額
2.商品有高帳:商品の売上原価を知るために必要。三分法においては、期末に。分記法においては売り上げの都度必要。
 実務上もっと大切なのは、どの商品がどのくらいあるか、です。これによって、品切れや過剰在庫を防ぎます。
3.得意先元帳(売掛金元帳):どの得意先から、いくら、いつ入金があるかを知るための補助簿です。
4.仕入先元帳(買掛金元帳):どこへ、いつ、いくら支払えばよいのかを知るための補助簿です。
5.受取手形記入帳:受取手形の将来の顛末(主として、いくらの金額がいつ預金に変わるのか)を知るため。
6.支払手形記入帳:振り出した手形が、いつ、いくら、当座預金から引き落とされるのか。
7.現金出納帳:各部署で管理され、1社に複数存在する。摘要欄には、相手勘定科目だけでなく、日本語で説明する文言が入る。
8.小口現金出納帳:上の現金出納帳よりも下の部署で管理される。担当者は簿記の勘定科目名をご存じない設定になっている。(週末補充や週明け補充に関しては、「転記と締め切り」での訓練を生かしてください。
9.それ以外の、当座預金出納帳(当座預金)、仕入帳、売上帳は、経理実務をご存じない、日商簿記3級出題者が勝手に作った、架空の補助簿だと思ってください。ただ、似たような総勘定元帳は存在します。上記でカッコ内の勘定科目です。「仕入帳」、「売上帳」は実務上存在しません。このような帳簿を保存するほど、経理は暇ではありません。
では、「暇な」出題者が出題した、補助簿に正解するためにはどうすればよいか。実在する補助簿に関しては、その存在目的に適した内容を記載するよう、皆さんの参考書を参照して練習してください。
②実在しない3つについては、以下の点に留意しておきましょう。
当座預金出納帳:総勘定元帳の「当座預金」と同じ内容だと理解してください。ただし、摘要欄には相手勘定科目だけでなく、その取引の内容がわかるように「日本語で」(もちろん外来語をカタカナで書くのもOKですが)記載します。
仕入帳:総勘定元帳の「仕入」と同じもです。ただし、仕入れた内容(仕入先、商品名、仕入数量、単価、支払方法等、出題の時に必ず上の行に見本があります)を細かに記入するのだ、と理解しておいてください。
売上帳:上の仕入帳の様式と全く同じで、仕入れが売り上げに変わっただけです。
※「現在の経理では架空の」と申し上げた上の3つの補助簿がないと、困るのではないか?と思った方は、次回の受験で合格します。
この疑問に答えるために、当座預金、仕入、売上に関する管理が、いま、実務上どのように行われているかを、解答・解説(補足)欄で解説します。
 

解説・補足

総勘定元帳の「当座預金」(実務)
 摘要欄には、入出金先、相手勘定科目名、その他備忘的なものも記載します。なお、現在の会計ソフトには、必ず「相手勘定科目」という欄があります。
仕入れた時の手順(実務)
①まず、「商品管理ソフト」というアプリに、月日、仕入先、支払方法(通常はすべて買掛金で処理)、商品名、単価、数量等を入力します。これは、商品担当者が行います。
②経理担当者が上記データから、買掛金元帳へ必要なものを吸い上げます。
③総勘定元帳の「買掛金」を開くと、買掛金元帳のデータが、日付順に並んで全部表示されます。
④総勘定元帳の「仕入」を開くと、仕入れた金額が日付順に並んで表示されます。
売り上げた時の手順(実務)
①上の「仕入れた時」に解説したものと同じ、商品管理ソフトに、月日、売上先、代金決済方法(通常は全部売掛金で処理)、商品名、数量、単価等を入力します。これは、営業担当部門の方が行います。
②経理担当者が、上記のデータから、売掛金元帳へ必要なデータを吸い上げます。
③総勘定元帳の「売掛金」を開くと、売掛金元帳のデータが、日付順に並んでいます。
④総勘定元帳の「売上」を開くと、売り上げた金額が日付順に並んで表示されます。

以上が現在(5年前)の当座預金、仕入・買掛金、売上・売掛金に関する実務上の処理工程です。
いまは、もっと便利になっていると推定します。
もちろん、コンピューターが発達する前には、何回も転記しました。

蛇足?1「横浜みなとみらい特許事務所」の弁理士さんから聞いたのですが、会計処理に関する特許・実用新案は原則として受理されないそうです。そこで、どこかが便利な会計処理方法を発明すると、他社もそれを取り入れます。その結果、会計ソフトはどれを使っても便利さはほぼ同じです。
蛇足?2会計ソフトの価格は、本体が30,000~50,000、商品管理ソフトが55,000~80,000です。
私見ですが、全部手書きと比べると、1台で10人分の仕事はします。
蛇足?3原題の2に、「手付金」¥50,000を差し引き、とあります。もちろ、もちろん簿記上の勘定科目は「前受金」ですが、「手付金」と「内金」は似ていますが、大きな差があるようなので、お伝えしておきます。
不動産取引で、「手付金」を支払った場合には、その金額の2倍を返済すると、不動産屋はその契約を破棄できるそうです。法的根拠は存じませんが、「手付倍返し」として、一般的には通用しているようです。皆さんがどうしても欲しい物件に関して不動産屋と契約する際、前払した金額の内容を「手付金」としないで「内金」とするよう、お勧めします。「内金」というのは、契約が成立して、その中の一定の金額、と解釈されるそうです。