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問題と解答

問題の種類:付随費用

問題.156-4-1第156回第4問の1

問題

以下の取引を仕訳しなさい。(改題。原題は補助簿に関する出題)
7/1 備品¥870,000を購入し、引き取り運賃¥30,000を含めた合計額を、小切手を振り出して支払った。

解答

解答
 7/1  借方  備品  900,000     貸方   当座預金  900,000
解説
固定資産(3級では、建物、土地、車両運搬具、備品)の取得に係わる金額は、支出時の費用として処理をしないで、固定資産の原価に合算し、固定資産として計上する、とされています。
実務上起こる例を挙げます。
①土地購入時の、弁護士や司法書士への報酬。
②建物購入時の、司法書士への報酬や登記印紙代。
③車両運搬具購入時の、自動車税等。
上記のように、本体以外のものに関する出費を「付随費用」と会計上呼びます。
付随費用を、支出時の費用としないで、固定資産の取得原価に算入する理由に関しては、敢えて解説しません。
簿記1級になると、「期間損益」という考えが強く出てきて、その時には、理解できるでしょう。今は、混乱するだけですから、深く考えないでください。
蛇足?
この出題のように、備品を購入した際に、自社までの運搬費を、自社が支払うことは実務上ほとんどありません。
なぜなら、高価な備品を購入した際、売り手の企業まで当方手配の車両で引き取りに行き、当社の希望する場所に設置する間に、万一備品を毀損した場合には大損害を被ります。
そこで、通常、備品や車両運搬具を購入する際には、自社が指定する場所まで移動する費用を含めた条件で、価格を決定します。したがって、売り手が提出する見積書の合計額を支払えばよいことになり、その見積額が固定資産の取得原価になります。
ただ、例外があります。
「中古」の固定資産(土地は除く)に関しては、買い手が売り手の指定する場所まで引き取りに行きます。
また、支払いも「掛け」ではなく、現ナマです。
私は、一度、中古の機械を売却したことがありますが。現ナマ百万円を受け取り、OKしたら、機械の解体専門家を同行した買い手が、その場で固定した機械のボルトを外し、4つの部分に分解し、クレーン付きのトラックに積んで、持っていきました。こちらは、百万円を手にして、ただ立ち会っているだけです。
下の(補足)欄で、支払運賃と、仕入勘定に含ませる運賃について、解説します。

解説・補足

日商簿記3級で、商品を仕入れ、「当社が負担すべき運賃¥10,000を現金で支払った」という問題が出題されます。
実務上、どのようなときに、仕入れに関して「当社が負担すべき」運賃が発生するのか、紹介します。
①離島:例えば八丈島で小売業をやっている企業は、卸業が通常提示する価格に、運賃を上乗せして購入します。
  具体的に、八丈島へ輸送するには、東京都の竹芝桟橋まで問屋が輸送し、そこから、買い手が依頼した船舶で八丈島まで輸送します。その場合の八丈島の小売業は、通常の仕入れ価格に竹芝桟橋~八丈島間の運賃を加算して、仕入れ価格とします。(次回の試験で出題されると推定する「商品有高帳」にこの例が出題されるかもしれませんよ)
 また、この竹芝桟橋~八丈島間の運賃を、売り手の問屋が立て替えて支払う場合があります。この場合が、簿記3級で出題される「相手負担の運賃¥10,000を現金で支払ったが、売掛金に含めて処理をした」という出題の実例です。
②特急運賃:売り手と買い手の間には、「売買基本契約書」というものが交わされており、運賃は、通常、買い手の指定するところまで売り手が負担する旨の条項があります。
 つまり、通常は、仕入れた場合には、支払運賃は発生しません。
 しかし、仕入れ担当者のミスで、品切れを起こしそうになり、「特急運賃を支払うから、何とか明朝一番で」などの交渉をする場合があります。この場合の支払額も、「仕入」勘定で処理をし、支払運賃として処理をしてはダメです。
 また、商品有高帳に記載する場合も、この金額を1個当たりに換算して、加算する必要があります。
③それでは、売上に関する運賃の処理はどうなのでしょう。上記②で触れました、「売買基本契約書」で、売り手は買い手の指定する場所へ納入する、と規定されています。ということは、売り上げが発生するたびに「支払運賃」は発生しております。では、なぜ、売り上げた時に、支払運賃がいくらであった、と出題されないのでしょうか?
 それは、契約した運送業者との間に、1か月単位で締め切り、翌月の20日までに振り込む、などの契約書を交わしているからです。実務上、売り上げの取引ごとの運賃がいくらかは、その都度は正確にわかっていません。そこを考慮して、日商簿記3級でも、売上が発生したときの自社負担の運賃(支払運賃)については、出題しないのでしょう。