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問題と解答

問題の種類:転記・締め切り

問題.156-2-2第156回第2問の2

問題

解説続き
日商簿記の出題ではなく、私が出題したものに関して、解説を続けます。
①取引を仕訳したものから、T型勘定への転記方法を詳説します。(「仕訳から転記」と略語を使いますが)
 例として、会社設立時の仕訳を用います。
 借方  現金  50,000,000   貸方  資本金  50,000,000
 転記の手順
 まず、仕訳の借方にある勘定科目の「現金」のT型勘定の借方に、仕訳の借方にある金額50,000,000を転記します。
 次に、仕訳の貸方にある勘定科目「資本金」を「現金」のT型勘定の借方の摘要欄に転記します。(  )は解答欄
    に必ず記入してくれているようです。
 次に、仕訳の貸方にある金額50,000,000を仕訳の貸方にある「資本金」のT型勘定の貸方に転記します。
 次に、仕訳の借方にある勘定科目「現金」を資本金のT型勘定の借方に転記します。
 以上をもう少し手短に言うと、仕訳の借方の科目、「現金」のT型勘定の借方に仕訳の借方の金額を転記し、その左
   の欄(カッコ書きがあるからその中)に、仕訳の貸方の勘定科目名を転記する。です。
 慣れない方に文字で説明するとどうしても長くなります。以前に、「訓練」という言葉を使ったのは、このためで
   す。
 習うより慣れよ、です。最低、50回は訓練してください。(私は実務で、10万回はやっています)
②締め切ったときの、T型勘定の体裁に関して。
 解答欄のT型勘定の中に、一重線があったら、それ以上の金額を計算(通常は足し算)しなさい、という意味にとっ
て間違いありません。 二重線は、その上の数値が合計です、という意味なので、二重線が引かれていたら、その上の行に、合計金額を記入します。
前回の出題に関する解説の続きは以上で一応終わります。

出題
第2期(×3年4月1日から、×4年3月31日)の取引は以下の通りであった。
必要な仕訳、転記・締め切りをすべて行いなさい。なお、売上原価算出には、「仕入」勘定を用いなさい。
4/1 前期からの繰り越しは、現金¥50,200,000 商品¥1,800,000 資本金¥50,000,000、繰越利益剰余金¥2,000,000であった。
5/1  商品¥7,000,000を現金で仕入れた。
6/25 給料¥300,000を現金で支給した。
6/30 商品¥7,500,000を売り上げ、代金は現金で受け取った。
3/31 期末の商品の有り高は¥1,250,000であった。





 

解答

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解答
①仕訳
  
  借方   勘定科目名 金額   貸方   勘定科目名 金額
4/1     現金 50,200,000       前期繰越 52,000,000
      商品 1,800,000         1,800,000
      前期繰越 52,000,000       資本金 50,000,000
                繰越利益剰余金 2,000,000
                   
5/1     仕入 7,000,000       現金 7,000,000
6/25   給料 300,000       現金 300,000
6/30   現金 7,500,000       売上 7,500,000
 
解答と解説
②転記・締め切り
添付するエクセルシートをご参照ください。転記と締め切りのための仕訳は以下の通りです。(皆さんが日商簿記3級試験、第5問、精算表上で行っているものを、正規の「仕訳、転記」に置き換えました。)
3/31 借方  仕入  1,800,000        貸方      商品    1,800,000
   この取引は、期首の商品有り高を、当期の費用(売上原価)に算入するためのものです。
   簿記2級になると、「期首商品棚卸高」という費用に属する勘定科目を習います。
3/31 借方  商品  1,250,000        貸方      仕入    1,250,000
   この取引は、期末の商品有り高を、当期の費用(売上原価)から取り除くためのものです。
   簿記2級になると、「期末商品棚卸高」という収益に属する勘定科目を習います。
  借方   勘定科目名 金額   貸方   勘定科目名 金額
3/31     損益 7,550,000       仕入 7,550,000
3/31     損益 300,000       給料 300,000
3/31     売上 7,500,000       損益 7,500,000
   上の3行は、各損益計算書に属する勘定科目の残高を「損益」勘定に集約するためのものです。
3/31 借方  繰越利益剰余金  350,000    貸方      損益     350,000
   上の取引は、「損益」勘定の残高を、貸借対照表に属する勘定科目の「繰越利益剰余金」勘定に振り替えるもの
   です。(損益計算書に属する勘定科目の残高は、絶対に次期繰越を行いません)
3/31 借方  次期繰越    51,650,000      貸方     現金     50,400,000
                                 商品     1,250,000
   借方  資本金     50,000,000      貸方     次期繰越    51,650,000
       繰越利益剰余金   1,650,000
   上記の取引は、貸借対照表に属する勘定科目の残高を次期に繰り越すためのものです。
以下補足欄は必ずお読みください。





 

解説・補足

①お気づきの方もいらっしゃると思いますが、×3年4月1日~×4年3月31日の費用・収益の額は殆ど同じです。
 期中の仕入額、給料支給額、売上額の3つとも同じです。それにも関わらず、前年度に¥2,000,000の純利益を上げたのが、当期はマイナス¥350,000になったのはなぜでしょう。お分かりになっている方は、次の試験では必ず合格します。
 当期純利益が前期より¥2,350,000下落した理由は、商品の期末残高が減少したからです。
 期末処理の仕訳の際に触れましたが、「期末の商品有り高を売上原価から除く」という作業があります。
 つまり、商品の期末残高が多ければ多いほど、売上原価の金額が少なくなり、当期の純利益は多くなります。
 「三分法」で処理をしている限り、商品の残高がわからないあいだは、純利益算出は不可能です。このことが、「三分法」をとる際の欠点です。「分記法」を採っていれば、その都度の商品売買益が算出されますが。
②この例題のように単純な取引だけ、というのは、実務上も受験上もありません。
ただし、基本はこの例題です。この例題を、10回解くと(丸暗記歓迎)、日商簿記3級の出題者より実力は上になります。
③簿記3級の参考書や、出題に、「期首商品棚卸高」や、「期末商品棚卸高」という文言が見受けられます。
これらの文言は簿記2級で学習する損益計算書に属する勘定科目です。これを、貸借対照表に属する勘定科目のごとくに解説している書物が多く見受けられます。これらに関して正しく解説しているのは、私が知る限りでは、大原簿記学校発行のものと、税務経理協会発行のものだけです。
④解答・解説欄に添付したエクセルシートに、10回分の解答用紙を用意しました。
 本当に10回、やってみてください。
⑤「転記と締め切り」は試験において、せいぜい12点の配分だから、捨てて掛かろうと思っていらっしゃる方は、その考えを改めることをお勧めします。「転記と締め切り」は、第1問の仕訳でも出題されます。第3問の試算表を正解する基礎です。第5問の精算表を解答する場合の論理的裏付けです。何のためにこの処理をしているかがわかります。
再度申し上げます。「転記と締め切り」をないがしろにすると、あなたは次回の受験でもまた、不合格になります。