HOME / 問題と解答 / 第2問「3伝票制」

問題と解答

問題の種類:仕訳

問題.111121第2問「3伝票制」

問題

以下の取引に関して、適切な処理をしなさい。なお、当社は3伝票制をとっている。(カッコ内は、伝票の種類と勘定科目名です)
①営業員が出張する際に仮払金¥100,000を現金で渡した。(出金伝票、仮払金)
②当該営業員が出張から戻り、仮払金を精算した。内訳:旅費に¥50,000、現金戻り¥50000.(入金伝票、振替伝票、仮払金、旅費交通費)
 

解答

解答
①出金伝票の勘定科目欄に、「仮払金」。金額欄に100,000。

②入金伝票の勘定科目欄に「仮払金」、金額欄に50,000。
 振替伝票の借方に「旅費交通費」¥50,000、貸方に「仮払金」¥50,000。

解説
なぜ、3伝票制なのでしょうか?
特に②の問題は、振替伝票だけで起票すれば1枚で済みます。それをわざわざ2枚に分けて起票するには、それなりの理由があります。
簿記解説書の多くは、「転記のために、現金に係わる取引を入出金伝票で別に起票しておくと便利だから」と説明しています。それは、一部正しいのですが、現在のパソコン利用の会計ソフトにおいては、「転記」という作業は一切ありません。
しかし、現在でも入出金伝票はかなりの割合で使用されています。その証拠にコンビニエンスストアで今でも、入金伝票、出金伝票、振替伝票が売られています。
では、3伝票制が存在する真の理由とは?
ずばり、内部統制のため、です。
現金、特に「現ナマ」は厄介なものです。追跡調査が不可能です。
現金取扱者が悪いことをできます。
例えば、出題①の仮払金¥100,000の出金を、現金取扱者が¥120,000と起票しても、すぐにはその誤りは発見されません。もちろん、その仮払金を受け取った者は、¥100,000であったと主張するでしょう。ただ、証拠がなければ水掛け論です。
そこで、出金伝票は原則として、お金を受け取る者が起票し、サイン(押印と書きたいところですが、ハンコ廃止運動のさなかですから、サイン、とします)をして現金担当者に提出します。
このような方法で現金取扱者が悪事に染まないよう内部統制をおこないます。そのための入出金伝票だと理解してください。
蛇足?1:私は過去約40年間、現金出納を担当しました。(もちろんその他の役割も果たしましたが)
その間、一度も現金をごまかしたことはありません、と言いたいところですが、一度だけ、誤魔化したことがあり
ます。
それは、某社に勤務した際に、社長から、半年で簿外現金¥800,000を作れ!との命を受けた時です。
社長命令ですから、何らかの特別の理由があるのだろうと、実行しました。
その現金を社長に渡す際に「2度とやりません」と付け加えましたが。
年商が50億円くらいの規模でしたから、80万円くらいは、税務調査でも発覚しません。
蛇足?2:経理パーソンに必要な資質:もちろん会計処理のエキスパートであることも重要です。
しかし、いわゆる不正をしないが最重要資質だと思います。
皆さんご存知の元日産自動車の「ゴーン氏」事件でも、経理担当幹部全員が、問題意識を持っていたと思います。
それを知りながら、「だめです!」と誰一人言わなかった。
監査法人でさえも「問題があるんじゃありませんか?」などと、他人事のようなコメントだけで、監査不合格の結論を出すことが出来なかった。
皆さんが将来企業の会計を職務とする際にはこの悪いことをしない、真実を開示する、という姿勢を貫いていただきたいと願います。
特に、経理と経営企画が別部門に分かれている場合には、経営部門から、「もう少し業績が良く見えるように」との修正要求があります。その時に、断固として真実を開示するのがその企業の将来のためです。
蛇足?3:時効だから実名を挙げます。40年くらい前、私が商品仕入れを担当している際、ユニ・チャームの営業員から、会社ぐるみの粉飾売り上げに協力してほしい旨の要望を受けました。「社長はご存じなの?」と問うたところ、「はい、社長も承知しています」との回答があったので、協力しました。その粉飾売り上げは次第に増大し、ついに1か月分にまで達しました。
その頃、本当は相談なく蚊帳の外だった社長が、その事実を知ることになり、即座に粉飾売り上げ廃止の決断・実行をなさいました。
嘘はダメです。